『鉄血のオルフェンズ』のスピンオフ作品として制作されている『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ウルズハント』。アプリで楽しむことができる作品として、長井龍雪監督をはじめメインスタッフが再集結し鋭意制作中です。
『ウルズハント』制作スタッフリレーインタビュー第2回は、アプリ開発を進めている株式会社バンダイナムコエンターテインメントのプロデューサー、藤原康則さん。『ウルズハント』という企画の立ち上げとアプリとしての方向性、そして現在の進捗状況を伺いました。

若いファンを多く抱える『鉄血のオルフェンズ』の盛り上がりをアプリにも取り入れたい
まずは、藤原さんとガンダムゲームシリーズとの関わりについて伺えればと思います。
私はフィーチャーフォン(ガラケー)時代からガンダムゲームに関わっていまして、かれこれ12年くらいやっています。ガンダムアプリでは、『スーパーガンダムロワイヤル』のプロデューサーなどを経て、現在はガンダムゲームアプリ全体を取りまとめる立場に立っています。あと、過去にはニンテンドー3DS用ソフト『ガンダムトライエイジSP』の担当もしてましたね。
藤原さんが初めてガンダムに触れたのは何歳のときでしたか?
6歳のときに、新宿の映画館に『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を観に行きました。これは姉がガンダム好きだった影響で、まだアムロとシャアをよく知らないのに連れて行かれました(笑)。自分の意思で観たのは、『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』だったと思います。
なるほど。6歳で『逆シャア』とはかなりのエリートですね(笑)。話は戻りまして、藤原さんは長い期間ガンダムシリーズに関わってこられたわけですが、『ウルズハント』はどのような経緯でスタートしたのでしょうか?
サンライズの小川(正和)プロデューサー(現:SUNRISE BEYOND代表取締役社長)と、会社の研修で一緒になったことがあるんです。その時に、当時自分が担当していたアプリ等の話をさせてもらって。それから『鉄血のオルフェンズ』の制作がスタートしたときに、小川さんから「アプリでも展開をしたい」という話を直接連絡いただいたのがきっかけでしたね。
『鉄血のオルフェンズ』という作品でアプリを展開したいという希望は当時からあったんですね。
そうですね。当時は複数のガンダムアプリが動いていたので、それらとサービスの差別化をしたいと思い、かなり考えましたね。
藤原さんは『鉄血のオルフェンズ』の魅力をどのように捉えていたのでしょうか?
第一に、『鉄血のオルフェンズ』の視聴者は若い世代も多く、SNS上での盛り上がりがすごくある作品です。そういった盛り上がりを、アプリとしても取り入れたいという想いがありました。もうひとつは、私自身が、長井龍雪監督が作るアニメーションがすごく好きなんです。長井監督が新しいガンダム作品(のちのオルフェンズ)に参加すると聞いたときは驚いたのを覚えていますし、同時に楽しみにもしていました。
藤原さんとしてもかなり期待されていた作品だったと。
はい。それでテレビシリーズが動いているときも、こちらからサンライズさんに『鉄血のオルフェンズ』と連動したアプリのプロモーションができませんかとお願いしにいったりしていましたね。
新たなストーリー、キャラクターで展開するスピンオフ作品として発表された『ウルズハント』ですが、この方向性でまとまった理由をお聞かせください。
そもそも、アニメーションを入れる予定はなかったんです。どちらかというと、モビルスーツ(MS)が起点となる企画で、みんなで協力して巨大モビルアーマー(MA)とバトルするような、ゲーム要素が強いものを考えていました。
そうなんですね。
ただ、『鉄血のオルフェンズ』の世界観的にも、もっと重厚なものを打ち出すべきなのでは、という話になり、既存のMSだけでなく、新しい設定のMSも登場する完全なスピンオフとして方向性が固まっていきました。その途中くらいで「アニメーションも新作でやりましょう」という話になりました。
アニメーションを入れたいという提案を聞いていかがでしたか?
ありがたかったですね。個人的にも、鉄華団の活躍に憧れる人物を主人公とした物語をゲームとして実現できないかな、と考えていたので、『ウルズハント』のストーリーが出てきたときに、これは面白くなりそうだなと思いました。
アニメーションとゲームのバランスをどのように考えていますか?
ストーリーをメインにする方向性に決まったとき、ゲームのシステムで推すのではなく、作品軸で推していきたいと考えました。『オルフェンズ』ファンの皆さんが求めているものを考えると、それはやっぱり映像やドラマだと思うので、物語の邪魔にならないシステム作りを念頭に置いています。戦闘シーンも、これまでのアプリになかったようなリッチに見える演出を心がけていますね。
例えば、戦闘時における操作はどのようになっているのでしょうか?
ガシガシ操作する形ではなく、変わって行く戦況の中で任意で行動を選ぶようなものを想定していますね。言葉だけで説明すると難しいのですが、自分の機体が攻撃に成功したときにある条件を満たすと、ユーザーが操作することで、さらに大ダメージが入って破壊演出も変わる……といった、そんな仕掛けを考えています。
ストーリーモードだけではなく、フリーモードなどもあるのでしょうか?
ありますね。ストーリーモードは物語に合わせて機体とパイロットの組み合わせも固定されていますが、フリーモード時には、パイロットとMSの組み合わせも自由になります。
これだけアニメ側とゲーム側がコミュニケーションを取っている現場は珍しい
アプリ用のバトルシーンの一部には、アニメの制作スタッフが演出に入っているそうですね。
はい。アプリ用のバトルシーンの一部を絵コンテで起こしてもらっています。今回、アプリ内のゲームパートではMSを3Dで表現しているのですが、やはり手描きの絵とはまったく別ものなんです。設定をベースにモーションをつけても、うまくいかないことが多くて。今回も苦戦していたのですが、小川さんから、「アニメの作画スタッフに(絵コンテを)描いてもらうのはどうですか?」と言ってもらって、ゲーム用の戦闘シーンを描いていただいています。そのことで、グッとクオリティは上がりましたね。
ゲーム用となるとオリジナルになりますね。
そうなんです。テレビシリーズのMSは、既に映像があるので、こちらで解釈しながら進めていけるのですが、『ウルズハント』のMSはまったくの初見なので、コンテでいただいたものを再現する方向性ですね。
今回の主役MSであるガンダム・端白星も新規で制作されたんですよね?
はい。『ウルズハント』で完全新規ストーリーをやるわけですから、CG班もかなり気合を入れて作ったのですが…なかなかアニメの映像で表現されるカッコよさには到達しないんです。ガンダム・端白星も、PVが出た段階で顔を中心にモデルを直しました。映像になるまでは基本的にMSの設定しか手元にないので、アニメの映像ができた段階で、顔や頭部の修正を入れることは良くありますね。
小川プロデューサーのインタビューを読む限り、シナリオのボリュームはかなり膨大になっているそうですね。
それに関しては、こちらからも文字量は多くなっても良い、とお伝えしています。通常、スマホアプリを前提としたシナリオだと、ユーザーのストレスにならないように、なるべく減らしていくことが多いのですが、今回はせっかくの新作ですし、中途半端に削ってよくわからない話にはしたくない、という思いがありました。
お話を聞くと、アニメ側とゲーム側からかなり協力し合って制作しているイメージですね。
そうですね!これほどコミュニケーションを取っているアニメとゲームの制作現場も珍しいと思います。
よりお客さんのニーズに合わせたガンダムアプリを制作していきたい
現在の進捗状況はいかがでしょうか?
アニメ側も進めていただきつつ、ゲーム側としても鋭意制作中です。東京ゲームショウ2019(9月12~15日)に出展するので、そこで進捗をお知らせできるかと思います。開発スタッフのテンションも非常に高い状態で、楽しみながら作業を行っていますね。
現段階で、『ウルズハント』をどのように楽しんでもらいたいと考えていますか?
『ウルズハント』は、アプリというメディアに合わせたストーリーテリングになっているので、これはしっかりお客さんに提供できればと思っています。
『鉄血のオルフェンズ』のファンに向けて、その魅力を教えてください。
『鉄血のオルフェンズ』はアニメとして非常に面白い作品でしたので、アプリの文脈で新しい方向性を提示していきたいと思っています。そして『鉄血のオルフェンズ』という冠があるからには、イマイチだったと思われないように、ファンの皆さんが楽しんで遊べるアプリサービスにしたいと考えています。テレビシリーズのキャラクターが出てくる新規エピソードも予定していますので、ぜひご期待頂ければと思います。